【HELMZ】他のベルトドライブに学ぶ:Gates Carbon Drive【自転車】

日本で初めてベルトドライブが採用された自転車が販売されたのがいつなのかは分かりませんが、フローティングベルトではなく、強いテンションで引っ張り続けるというタイプのベルトドライブ、ソリッドカーボンドライブであるHELMZのSSSDが発売されたのは2013年です。
おそらくは動力伝達機構としてのベルトドライブでは後発の部類だと思います。

日本ではあまり見かけないですが、世界的にベルトドライブの自転車といえばGates社のCarbon Driveのことだと言い切っても良く、こちらは2007年開発、2009年以降にTREKなどから完成車が出ていたようです。
Gates社のベルトを採用した自転車は今でも特に欧州で多く発売されており、一時期は日本にも入ってきていたようですが日本での売れ行きは良くなかったようです。

北米で開催されるNAHBS(North American Handmade Bicycle Show)ではGates社のカーボンベルトが採用された自転車が結構出てくるようです。
あちらでは既存のフレームを切った貼ったして「遊ぶ」という文化があり、自らベルトドライブ化するためにシートチューブをぶった切ってベルトを通せるようにするためのチューブスプリッターなんてもんが売られてたりします。

そんな都合もあってか、Gates社ではベルトドライブのテンションを決める方法が何通りか紹介されています。
HELMZと同じくベルトを一定の力で押した際のたわみ量を測定するという方法も含まれています。
その中でも「なるほど」と思ったのは公式のスマホアプリ(iPhoneAndroid)を使い、ベルトを弾いた際の音(周波数)でそのテンションを測るという物。
最初は「弾き方とかで周波数なんて簡単に変わっちゃうんじゃ?」って思ったのですが実際にやってみるとそこそこ安定した数字が出てきます。
実際にはこのアプリじゃなくても良く、マイクから入力された音の周波数を表示してくれるようなアプリなら問題ないと思います。

このアプリで調べられるベルトを弾いた際の周波数は自転車の種類や乗り方によっての推奨値があり、以下のようになっています。

  スムースで安定したペダリング パンチの効いたラフなペダリング
マウンテンとシングルスピードアーバン 45~60Hz 60~75Hz
内装ギアハブ 35~50Hz
タンデム 60~65Hz


もちろんこれはGates社のカーボンベルトでの値なのでHELMZにそのまま適用できるわけではありません。

が、自分で「このテンションがちょうど良い」と思った値を記録・再現する方法としては優れているなぁと思い、現在のベルトテンションを計測した結果がこちら。


以前の記事で「ベルトのテンションが高すぎると異音が発生しやすい」と書いていましたが、実際にはチェーンラインがまっすぐであることの方が重要そうです。
大きく表示されている122Hzというのが最新の計測結果で、上に出ているのが前回(121Hz)、前々回(122Hz)、のように右に行くほど古い結果となります。
1つだけ127Hzとなっていますが、概ね毎回同じ辺りの周波数になっているのが分かると思います。
Gates社のカーボンベルトと比較するとありえないくらい高いテンションですが、実際に手でクランクを逆に回すと確かにちょっと重さを感じます。
これについてはSSSD SYSTEMのマニュアルにも「ベルトの張りが強いため、手でクランクを回すと回転が重く感じられます。これはSSSD SYSTEM特有の現象で異常ではありません」とあるのでそういうものなのでしょう。
この状態から少しテンションを落とすと坂道でのゼロ発進時に歯飛びを起こすので私的にはベストなテンションじゃないかな?と思ってます。

Gates社のカーボンベルトは「センタートラック」と言う独特の構造をしていて、ベルトの山部分中央に切れ込みがあり、プーリーにもその切れ込みに入り込む真ん中の「歯」があります。


こういう構造の違いがHELMZ SSSDのベルトテンションとGatesベルトのテンションの違いに出てきているのかもしれません。

さて、以前の記事にも書いたとおり、チェーンラインを調整しても微かな異音が出ていたのですが、現在はめでたく完全に解消!しております。
が、それについてはまた次の記事でご紹介したいと思います。